多数決で失敗するデザイン、ロゴ・パッケージ
デザインの打ち合わせが終わった後、よくあるんです。
持ち帰って、社内で検討するときに、
「じゃあ、このデザインの中で一番好きなのに手を挙げましょう!」っていうやつ。
……いや、それ、文化祭の模擬店を決めるノリですよね。
焼きそばにする? たこ焼きにする?
それなら「好き嫌い」で盛り上がってもいい。
でも会社の大事なロゴや、開発者や技術者の情熱を込めたサービスや製品、商品のパッケージを、
唐揚げか餃子かみたいに決めちゃうのは、
さすがに乱暴だと思うんです。
デザインには「役割」があります。
・ロゴなら「どんな印象で覚えてもらうか」
・パッケージなら「棚に並んだときに、どう手を伸ばしてもらうか」
「赤が好きだから」や「丸い形がいいから」で作ってしまうと、本来の役割が置き去りになる。
まるで、味や食感も考えずに、色と形だけでスナック菓子を作るようなものです。
多数決で決めると、大抵は「嫌われにくい案」が勝ちます。つまり、無難なやつ。
角が取れて、当たり障りがなくて、でも「これじゃなきゃ!」っていう強さもない。
結果、街に埋もれるロゴや、スーパーで素通りされるパッケージが生まれてしまうんです。
本来必要なのは「多数決」じゃなくて「議論」です。
「うちの商品らしさを一番表現できているのは、どれ?」
「お客さんにどんなメッセージを伝えたい?」
そのために、デザインってある。
デザインを選ぶというのは、ラーメン屋で「醤油にする? 味噌にする?」を決めるのとは
わけが違います。
そこには会社の未来やブランドの価値がかかっている。
だから「好き嫌い」で決めるのは、やっぱり危うい。
え?
今まで多数決で決めているから、今さら社内で発言しにくいって?
そしたら、もし次に「多数決で決めましょうか」と言われたら、こう返してみてください。
「じゃあ社名も、多数決で決めますか?」
――その一言、けっこう効くと思いますよ。