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登山家・貫田宗男 × マグネットインダストリー代表 田中宏和 対談


ウェルネスを意識したデザインの未来

Interview of Magnet industry


元気で働くためには、まず、自分が元気でいなくちゃいけない。
その当たり前を、ちゃんとやるのは、案外むずかしい。

今回は、登山家の貫田宗男さんと、そんな話をしました。
貫田さんはエベレストを二度登頂、「天国じじい」として知られ、
『イッテQ!』でイモトアヤコさんの挑戦を支える登山界のレジェンドです。
74歳の今も、毎日のトレーニングを欠かさない。

一方、代表の田中宏和は、昨年新会社を立ち上げ、
2社の経営と子育てとトレーニングを両立させる日々。
ふたりは、それぞれの現場で、どうやって“元気”を保っているのでしょうか。

貫田宗男さんプロフィール:
1951年、山口県生まれ。高校で山岳部に入り登山を始める。1970年JECC入会。1972年にヨーロッパアプルスで初めての海外登山を経験。1979年にダウラギリV峰(7,618m/ネパール)登頂、1991年春、1994年秋と、2度のエベレスト登頂に成功。95年に「ウェック・トレック」(WEC)を創業し、国内外で、登山隊や撮影隊のコンサルタント、コーディネートを行う。日本テレビの番組「世界の果てまでイッテQ!」の登山部、日本山岳・スポーツクライミング協会国際委員会常任委員などを務める。著書に『二人のチョモランマ』(山と溪谷社)


下山の勇気、という話

田中:
今春、日テレ『イッテQ!』で、貫田さんが突然出られたので、驚きました。イモトさんもご出産されましたし、登山の企画はもうないのかな、と思っていました。さらに、番組でお馴染みの中島健郎さんがK2で滑落されるという悲しいこともあった。そんな中で、イモトさんと貫田さんが、タッグを組み、登山に挑戦された。それだけで、感動していたのに、途中で珍しく、貫田さんが下山を決められましたよね。
「まだ歩けるけど、へばっちゃうとどうしようもない」
――あの判断には、大きな勇気があったと思います。

貫田:
登山では、“登る勇気”よりも“やめる勇気”が大事です。
もし、無理をすれば、チーム全体に迷惑をかけます。
引くことは、次に挑むための準備でもあります。
ビジネスも同じ。続けるために、一度止まることも必要です。


体を動かすと、考えも動く

田中:
私も、仕事の合間にジムで汗をかく時間を大切にしています。
運動すると、ストレスが抜け、頭がクリアになります。
アイデアも自然に出てくる。

貫田:
体を動かすと、心も整いますよね。
登山やトレーニングは、調子を取り戻すための“自分との対話”のようなもの。
昨年、体調を崩し、最近は、食事や睡眠も含め、ウエルネスをとても意識しています。
とはいえ、年齢もあって、簡単には自分が思う通りにいかないこともありますけどね。

田中:
ウェルネスって、健康法というより“創造の土台”ですよね。
おっしゃる通り、心と体が整っていると、デザインもまっすぐ前に進める気がします。


健康を、チームの文化にする

田中:
会社の文化に“健康”を根づかせるのは、これからの課題です。
たとえば、アウトドアで過ごすとか、短時間でも体を動かすとか。
そんな習慣が、チームの空気を明るくしてくれる。

貫田:
小さな積み重ねが大事です。
登山チームも同じ。ただし、強い人だけが集まっても、長くは続きません。
むしろ、互いの調子を気にかけられる仲間がいること、それが強さです。


“元気”は、技術だ

田中:
僕らのデザインの仕事は、人を元気にすることだと思っています。
まず、自分が元気であること。
才能というより、技術です。

貫田:
ほんとにそう。
元気は、意識してつくるもの。
登る力も、笑う力も、同じ場所から生まれます。

田中:
ウェルネスは、未来をデザインするための一番シンプルなツールかもしれませんね。


企画・取材・撮影・執筆  Sakurako

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